広島家庭裁判所福山支部 事件番号不詳 決定
少年 Y(昭一六・一・三一生)
主文
少年を広島保護観察所の保護観察に付する。
理由
(罪となるべき事実)
少年は昭和三五年四月下旬頃、福山市○○町××○島○夫方において、同人所有の短靴一足(時価三〇〇円位)を窃取したものである。
(適条)
刑法第二三五条
(情状)
少年は昭和三五年九月七日当庁において、検察官より送致にかかる上記窃盗事件並びに放火等事件につき検察官送致に付せられたところ、その後検察官は上記窃盗事件のみ広島地方裁判所福山支部に公訴提起をなし、同裁判所で審理中同年一二月一九日上記窃盗事件につき保護処分に付するを相当と認めて当庁に移送し、該事件の再係属を見るに至つたものである。
本件非行は少年が以前就職していた勝手の知る勤め先より自己使用の欲望で靴一足を窃取した案件であり、被害額・罪質等からみてさほど悪質のものとはいえず、又少年自身非行の前歴もなく本件が初非行である点よりすれば、非行面からはさほど憂慮すべきほどのものではない。
ところで少年は生来知能に劣る上軽度の精神薄弱者であり、加えて分離性性格の特徴をもつ精神病質的傾向を示し、情動不安定で特に対人関係は閉鎖的性格のため社会適応性を欠如している。少年の従前の就職変換の経緯は特に叙上の資質欠陥を窺知さすに十分であろう。従つて少年の置かれる環境如何によつては非行と結びつく蓋然性は大であり、要保護性も軽視しえないところである。叙上諸般の事情を綜合すると、少年に対しては未だ施設収容の保護方法は早計というべく、在宅補導の強化を図るを至当と考えるので、少年を保護観察処分に付し保護の適正を期することにする。
よつて少年法第二四条第一項第一号に則り、主文の通り決定する。
(裁判官 丸山明)